『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません

 それから三十分ほどで、アルフに連れられた老医者がバタバタとやってきた。医者はグレイの顔を見て、「あっ」と驚いた。

「どうなさいましたか」

 もう一度グレイの顔を確認した医者は、「やっぱり」とこぼす。

「わたしは今日王都から乗り合い馬車でこちらに戻ってきたんだが、途中の宿場町で乱闘騒ぎがあってな。この人があっという間に全員を制圧したんだが、そのときに乱暴者が振り回していた刃物が当たったようで。わたしが手当を申し出たんだが、大丈夫、妻が待ってくれているからと言ってすぐに行ってしまったんだ」

「そんなことが……!」

「この苦しみ方……あらかた乱暴者の刃物に、毒があらかじめ塗布してあったのだろう。力で敵わない者が考えそうなことだ」

 より詳しい診察により、グレイはやはり傷口から毒に感染させられている可能性が高いことがわかった。傷口から血が止まらないのもそのせいで、医者からすぐに解毒剤が投与された。
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