『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
 客室が暗くなるのがなんだか怖くて、リリアーナはランプに灯りをつけた。そうしてグレイの眠りを妨げない程度に明るさを調整する。

 自分の手につき、乾いたグレイの血がカサつく。母がお湯を持ってきてくれるというので、リリアーナは椅子に腰掛け待つことにした。

 目を閉じて、深く深く、息を吐くと、頭が空っぽになるような感覚に陥る。

(……ここから、気合いを入れなくちゃ。アザール家に知らせに向かったお父様は、今ごろどの辺にかしら。きっとお義父様やお母様、お義父様の誰かがすぐに一緒にこちらにいらっしゃるはず。驚かれ、心配するでしょう……)

 苦しむグレイ、そして心配するアザール家の人々を想像すると、涙がじわりと滲む。

 今自分にできることは、グレイの様子をしっかりと見て、変化に気づくこと。そう心の中で繰り返した。
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