『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
「グレイ様が目を覚ましたときに、部屋に誰もいないと寂しいと思うので、お傍にいたいのです」
心配してくれている気持ちが、伯爵の表情からも伝わってくる。それでも、リリアーナはグレイの傍にいたかった。
「そうか。ありがとう。でも無理は禁物だ、妻からもリリアーナに自分の体も大事にするようにと言付かってきたんだ。ほどほどに、な」
「わがままを言って、申し訳ありません。ありがとうございます」
あと数時間も経てば朝を迎える。このまま伯爵たちには別の客室で休んでもらうことになった。
グレイはたまに苦しげに唸ったり、眉間に皺を寄せたりを繰り返しながら、目を覚まさないでいる。リリアーナはグレイの大きな手を握り、そのたびに励ます。
医者でもなんでもない自分は、ただこうして手を握ることしかできない。そんなときふと、子供のころに見つけた、白い生き物の存在を思い出した。
今さら勝手だと思いながらも、藁にも縋る気持ちで目を閉じ、心の中で祈りはじめた。
(まだあなたが本当に竜の子なのか、私には確かめようがない。だけどもしそうだとしたら、どうかグレイ様を助けて……。存在を信じないことを怒るなら、謝ります。この人は、私を地獄みたいな場所から拾い上げてくれたの。だからもし力を貸してもらえるなら、どうか、グレイ様の命を助けて、お願いします……!)