『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
小さな生き物が消えたリリアーナの手のひらを、グレイが大きな手で包む。
「俺は、リリアーナにたくさんの心配をかけてしまった。思い出したよ、ならず者に背中を傷つけられ……だけど君に早く会いたくて馬を走らせたんだ。だんだん目の前が霞んで声も出せなくて……。そんな状態の俺を、リリアーナが見つけてくれた」
リリアーナの胸が、熱い感情でいっぱいになる。グレイの手を握り返して、強く頷く。
「ええ、そうです。私も、皆も、グレイ様が目を覚ますのを心から待っているのです。だからもう、一緒にここから帰りましょう?」
ボロボロとリリアーナの目から涙が流れて、止まらない。ここでグレイを連れ戻さないと、もう二度と会えない気しかしないのだ。
「そうだな、帰ろう。リリアーナ、迎えにきてくれて、ありがとう」
そう言ったグレイの背後から眩い光が差す。リリアーナはグレイの手をしっかりと握ったまま、思わず目を閉じた。
──ぎゅっと握られた手から確かな温もりを感じて、リリアーナは重い瞼をゆっくりと開ける。
部屋を照らすほのかな灯り、頬にはベッドに敷いたシーツの感触がする。
いつの間にか、ベッドに突っ伏して眠ってしまっていた。
ハッとして身を起こすと、グレイが小さな呻き声を上げた。目を覚ますか、そのまままた眠りに落ちてしまうか──。