『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
謝りも助けもしない王太子殿下に内心でキレて助ける際にわざと蹴って退けたが、意外にもその行動を周りから咎められなかったのは幸運だった。

(あの場では、戦争の勝利に貢献した騎士団の方に味方する空気になっていた。それに王太子殿下があんな振る舞いをしてくれたおかげで、リリアーナへの言われなき誹謗中傷も静かになってくれた)

 自分が良き振る舞いをするたびに、彼女を信じる人間が増えていく。グレイ自身も竜の存在には半信半疑だったが、彼女が嘘をついたなんてちっとも思っていない。

 むしろリリアーナの前になら、竜が現れてもおかしくないと信じているくらいだ。

 そうして実際に毒で倒れた夜に彼女と同じ夢を見て、その中で小さな生き物に、あちらの世界に行かないように阻止され助けられた。目覚めてから、あの生き物が子供のころに大神官と一緒に見たものだと教えられた。

 そのときのリリアーナは、少し心苦しい表情を浮かべていた。この話を信じてくれるだろうか、そんな不安が見えた。

 それは仕方がないのだ。王太子殿下に『嘘つき』をはじめ暴言を吐かれ、虐げられていたのだから慎重にもなる。だからグレイは自分の爪先にしがみついていた生き物の特徴を、ひとつひとつ思い出してリリアーナに聞かせた。
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