『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません

 彼の容姿が抜群に良いのは理解していたけれど、普段とは違う姿を見せられると、あらためてときめいてしまう。

 それに気づかれないようにちらりと見ても、必ず目が合うのだ。

(私、これから先、何度グレイ様に惚れ直すのかな。心臓がドキドキしてもたないわ)

「……ホールでは、俺からはぐれないようにね。使用人をホール外で待たせるから、万が一にはぐれてしまったときには、使用人のもとへすぐに向かってね」

 舞踏会では、使用人を伴ってきてホール外で待たせる。今日も後ろに並んだ馬車に、屋敷の使用人が乗ってきてくれている。

「わかりました。はぐれてしまったら、すぐに使用人のもとに向かいます」

 子供のように、リリアーナはグレイの前で復唱する。

「それと、これは言うか悩んだけれど、誤解されたくないから言うね。俺はリリアーナに出会うまで女性に興味を持てなかったが、興味を持たれることは多かったんだ。その中でもひとり、熱烈な人がいた。その女性は今、王太子殿下の婚約者になっている」

「シルバ様の、婚約者に……?」

 こくりと小さく、シルバが頷く。

< 89 / 100 >

この作品をシェア

pagetop