『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません

 グレイにリードされて、音楽に合わせてホールの中央へ踊り出る。

(ダンスは好き。妃教育でも、ダンスの授業は楽しかった。とても厳しかったし、先生としか踊ったことはないけれど)

 正しいダンスの姿勢、リズムの取り方、美しく見せる方法。それらの教育のすべてが、リリアーナの体に刻み込まれていた。

 またグレイのリードも完璧で、貴族たちから感嘆のため息が聞こえてくる。

「さすがリリアーナ、ダンスがうまい」

「グレイ様だって。自信がないなんて言っていたのは誰ですか」

 リリアーナのダンスの技能を信じてか、またはリードしきる自信があるのか、グレイはスピンやターンの大技に誘う。それにリリアーナも美しくついていくので、また二人は大注目の的になっていた。

「ふふ、生きてきて一番楽しいダンスです。この時間が、ずっと終わらなければいいのに」

 目を閉じて、最高の音楽とグレイのリードに身を委ねる。体力が戻り、息が上がらずに踊れるのが楽しい。

「だからって、他の男性と踊るのは禁止だよ? 俺以上にリードが上手いやつなんていない、自信がある。リリアーナは、ずっと俺とだけ踊って」

 独占欲と呼んでもいいのかもしれない、そんな強いグレイの眼差しに射抜かれて、リリアーナはまた彼に惚れ直した。

 
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