『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
シルバはギョロギョロとホールを見回し、人の間からこちらを見つけて「あっ」と声を上げた。

 巻き込まれたくない貴族たちがシルバに道を開けると、距離がありながら対峙する形になってしまった。

「いた、いた! 帰るぞリリアーナ!」

 ずんずんと、ふくよかな体を揺らしてシルバが歩いてくる。
グレイはリリアーナをすかさず自分の背中に隠した。

「どけ! 騎士風情がっ!」

「我が妻を守るためです、どきません」

 はっきりとそうグレイが宣言しても、シルバは止まらない。あろうことに帯同している剣を抜いたことで、ホールからは貴族たちの大きな悲鳴が上がった。

「なら、お前を殺してやる。リリアーナ! お前のせいで騎士が死ぬのを、目の前で見ていろ!」

 剣を構えたまま、シルバが走り向かってくる。

「グレイ様……っ!」

 我慢できずに、リリアーナがグレイとシルバの間に割って入ろうと動いた瞬間だった。

 グレイが片腕で剣をさばきながら、もう片方の手で、シルバの顔を正面から思い切り殴ったのだ。

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