『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません

 舞踏会はもちろん、すぐにお開きになってしまった。伯爵がこの一件の報告をすべて請け負ってくれたので、招待客たちは速やかに帰ることができた。

 リリアーナは、自分の元婚約者、シルバの頭をかち割ってやりたいと婚約時代は常に思っていた。

 道具など使わず、自らの素手で、真っ二つに。

 けれど陶器を振り下ろしても、シルバの頭は二つに割れないことが、目の前で証明された。

 胸がスっとするかと思っていたけれど、実際にはそうではなかった。

「……あの令嬢は、これからどうなってしまうんでしょうか」
 あの令嬢がシルバの、新しい婚約者だという。凶行に走るほど、この婚約が嫌だったようだ。

「殺意があふれ出ていたけれど、元凶は殿下だろう。彼女の罪が軽く……せめて死罪は免れるように、アザール家からも働きかけるよ。殿下も今回は、無罪放免とはいかないだろうな。噂にはなっていたけど、いよいよ王弟陛下のご子息を王太子として迎えるきっかけに、今日がなったかもしれない」

「そうなる可能性が、高くなると思います。城にいたころに聞いた話ですが、王弟陛下はずいぶん前から、ご子息がいつそうなってもいいようにと、教育されていたと聞いています。周りからも、そう望まれる声が多かったのでしょう」
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