三十三歳、イケメン男子にご飯を奢るのが趣味になりました。
お店を出ると、通りの植え込みに小さな明かりが灯っていた。

「おいしかったね」
「うん。あのソース、パンにつけて全部食べたかった」
「食べてたでしょう」

蓮くんが笑う。

「もうちょっと」

私も笑った。駅までの道を並んで歩く。ガラス張りのお店の前を通ると、ジャケット姿の彼がちらりと映った。
今日は、いいものをたくさん見た。

「おねーさん、来週は?」

隣から聞かれて、顔を上げる。

「あー、約束あるから、ごめんね?」
「友達?」
「ううん。蓮くんみたいな?」

彼の足が、ほんの少し遅くなった。

「……ああ」

私も歩調を緩める。

「その次の週も、ちょっと予定があって。もう少し先でもよければ」
「うん」

蓮くんは前を向いたまま頷いた。

「また連絡して」
「わかった」

そう答えると、彼がこちらを見た。何か言うのかと思ったけれど、口元が少し緩んだだけだった。
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