三十三歳、イケメン男子にご飯を奢るのが趣味になりました。
待ち合わせ場所に来た真帆さんは、俺を見つけると少し表情を明るくした。
「久しぶり」
「うん。映画見た?」
挨拶の次に聞いたら、笑われた。
「見たよ」
「どうだった?」
「話したいこと、いっぱいある」
よかった。スマホをポケットにしまう。
「俺も」
歩き出す前に、真帆さんが焼肉には行けたかと尋ねた。まだだと答えると、近くによさそうな店があるという。
最初の投稿を覚えていたらしい。場所も調べてあるようだった。
「賛成」
真帆さんについて、店のある通りへ向かった。
焼肉屋では、俺が肉を焼いた。真帆さんは素直に任せて、映画の話を始める。
例の俳優が出てきたところでは、やっぱり笑ったらしい。
最後の場面については、意見が分かれた。真帆さんは、あの二人にもう一度話してほしかったと言う。俺は、話さなくてよかったと思っていた。
理由を言うと、彼女は少し考えた。
「……確かに。帰れないね」
自分の言ったことを、頭の中で試しているような顔だった。
「だから、あそこで終わってよかったんじゃない」
「もう一回見たくなった」
「俺も。最初のほう、見直したい」
焼けたハラミを彼女の小皿に置くと、袖が落ちてきた。空いた手で押し上げ、網へ視線を戻す。
「蓮くんも食べてね。焼くの、代わろうか」
「食べてるよ」
自分の皿から肉を取って口に運ぶと、真帆さんは俺のご飯を見た。もう半分くらい減っている。
本当だ、とでも思ったのか、少し笑っていた。
冷麺を食べる頃には、映画から別の話に移っていた。向かいで真帆さんが杏仁豆腐を食べ、目を細める。
そっちもおいしそうだな。
見ていると、顔が上がった。
「何?」
「いや。そっちも頼めばよかった」
「まだ頼む?」
メニューへ伸ばしかけた手を止めた。
「今日は、いいや」
まずは冷麺を食べ切ろう。そう思って箸を持ち直したのに、彼女がもう一口食べるのを見ると、やっぱり惜しかった。
「久しぶり」
「うん。映画見た?」
挨拶の次に聞いたら、笑われた。
「見たよ」
「どうだった?」
「話したいこと、いっぱいある」
よかった。スマホをポケットにしまう。
「俺も」
歩き出す前に、真帆さんが焼肉には行けたかと尋ねた。まだだと答えると、近くによさそうな店があるという。
最初の投稿を覚えていたらしい。場所も調べてあるようだった。
「賛成」
真帆さんについて、店のある通りへ向かった。
焼肉屋では、俺が肉を焼いた。真帆さんは素直に任せて、映画の話を始める。
例の俳優が出てきたところでは、やっぱり笑ったらしい。
最後の場面については、意見が分かれた。真帆さんは、あの二人にもう一度話してほしかったと言う。俺は、話さなくてよかったと思っていた。
理由を言うと、彼女は少し考えた。
「……確かに。帰れないね」
自分の言ったことを、頭の中で試しているような顔だった。
「だから、あそこで終わってよかったんじゃない」
「もう一回見たくなった」
「俺も。最初のほう、見直したい」
焼けたハラミを彼女の小皿に置くと、袖が落ちてきた。空いた手で押し上げ、網へ視線を戻す。
「蓮くんも食べてね。焼くの、代わろうか」
「食べてるよ」
自分の皿から肉を取って口に運ぶと、真帆さんは俺のご飯を見た。もう半分くらい減っている。
本当だ、とでも思ったのか、少し笑っていた。
冷麺を食べる頃には、映画から別の話に移っていた。向かいで真帆さんが杏仁豆腐を食べ、目を細める。
そっちもおいしそうだな。
見ていると、顔が上がった。
「何?」
「いや。そっちも頼めばよかった」
「まだ頼む?」
メニューへ伸ばしかけた手を止めた。
「今日は、いいや」
まずは冷麺を食べ切ろう。そう思って箸を持ち直したのに、彼女がもう一口食べるのを見ると、やっぱり惜しかった。