三十三歳、イケメン男子にご飯を奢るのが趣味になりました。
洋食屋で、真帆さんはデミグラス、俺は和風のハンバーグを頼んだ。彼女が二種類の写真を見比べていたので、一口あげると言うと、自分のも分けてくれることになった。

料理が来て、一口食べる。ちゃんとおいしかった。

もう一切れ切り分け、大根おろしをのせて差し出す。

「はい」

真帆さんの手が止まった。フォークを見て、それから俺を見る。

こうすると、喜ぶ人が多い。

けれど、彼女は何か言いかけたまま、少し困った顔をした。

「お皿に、もらってもいい?」
「喜ぶと思ったのに」

小皿より先に顔を見ると、目が合った。

「嬉しいよ。ただ、その……ちょっと照れるから」

言い終える頃には、頬が赤くなっていた。

証明写真まで平気で褒めるのに、これは照れるんだ。

「照れるんだ」
「……初対面でしょう」
「そっか」

ハンバーグを小皿に置くと、真帆さんは自分の分を切り始めた。さっきまで俺を見ていたのに、今はずいぶん手元に集中している。

「蓮くんのも、今あげるからね」
「うん」

笑いを含んだ返事になったけれど、今度は顔を上げてくれなかった。

食べながら、映画の話をした。最近見た作品が同じで、俺が忘れかけていた場面を、真帆さんはよく覚えていた。

「最後まで普通にいい人で、びっくりした」
「顔で疑われてかわいそう」

真帆さんが吹き出す。一緒に笑っていると、ふいに言われた。

「可愛いね」

……そっち?

「格好いい、のほうがいい」
「それは、さっき言ったよ」
「何回でもいいけど」

彼女はまた笑った。

「じゃあ、格好いい」
「どうも」

訂正してもらったのに、何となく受け流された気もした。でも、その顔を見ていたら、映画の続きが話したくなった。

意見が違っても、真帆さんはすぐには合わせなかった。「私は、あそこが好きだったな」と言われて、もう一度その場面を思い出す。

話しているうちに、皿が空になっていた。
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