三十三歳、イケメン男子にご飯を奢るのが趣味になりました。
店を出てからも、話は続いていた。真帆さんが予告編を出そうとスマホを見て、通路の真ん中へ寄る。向こうから人が来ていたので、肩に手を置いた。

「おねーさん、こっち」
「あ、ありがとう」

寄ってきた彼女と、近くで目が合った。

食事中に照れていた顔を思い出して、手を離すのを少し遅らせる。

「そういうの、しなくていいからね」

何のことかと見返すと、真帆さんは穏やかな顔で続けた。

「ご飯、一緒に食べてくれるだけで嬉しいから。そんなに気を使わなくても大丈夫だよ」

肩に置いた手を見る。ハンバーグのことも、そう受け取っていたんだろうか。

「……別に、サービスじゃないけど」

手を離すと、彼女は少し首を傾げた。

「うん。でも、無理はしないでね」
「してないよ」

もう少し近くにいてもいいかと思っただけなのに、ずいぶん気を使ったことになっていた。

真帆さんは、本当にそのまま帰った。

駅で別れたあと、届いたお礼のDMに返信する。次の誘いが来るかと思ったけれど、やり取りはそこで終わった。

顔は気に入ってたよな。証明写真まで褒めていたし。

それでも、ご飯を食べて、映画の話をして、それで満足して帰った。

……変な人。

スマホをポケットにしまい、階段を下りた。ハンバーグはおいしかったし、話も楽しかった。

また誘われたら行こうと思った。
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