三十三歳、イケメン男子にご飯を奢るのが趣味になりました。
食事の前に寄ったアクセサリーの店で、彼女は二つのピアスを交互に耳元へ当てていた。

「どっちがいいと思う?」

隣から少し顔を寄せ、鏡越しに見比べる。彼女の目が一度こちらへ動いて、そのまま止まった。

「俺は、そっち」
「こっち?」
「うん。髪、短くしたから、よく見える」

金色の輪を当てたまま、彼女は鏡に向き直った。顔を左右に動かしているけれど、もう迷っている様子ではない。

「じゃあ、こっちにしようかな」

店を出てからも、彼女はときどき小さな紙袋を見下ろしていた。

「一人だったら、ずっと迷ってたと思う」
「今度、つけてきてよ」

顔を上げた彼女が、少し間を置いて頷く。

「……うん」

さっき鏡の前で決めたときより、嬉しそうだった。
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