三十三歳、イケメン男子にご飯を奢るのが趣味になりました。
店を出たところで、袖を引かれた。

「もう少し歩かない?」
「いいよ」

まだ早い時間だったし、彼女も帰りたくなさそうだった。

歩き始めると、店へ向かっていたときより距離が近くなった。話しながら俺の腕に触れる手も、すぐには離れない。こちらからも顔を寄せて聞くと、彼女は楽しそうに話を続けた。

その声に合わせて、俺も少し声を落とす。近くで話していると、目が合う回数が増えた。

「今日、会えてよかった」
「そんなに忙しかった?」
「うん。でも、楽しみにしてたから」

俺を見て、少し照れたように笑う。その顔を見ていたら、彼女が続けた。

「また誘ってもいい?」
「いいよ。次はピアス見せてもらわないと」

彼女は、買ったものを思い出したように耳元へ触れた。

「覚えててね」
「忘れないよ」

嬉しそうに、もう一度俺の腕へ手が伸びてきた。
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