三十三歳、イケメン男子にご飯を奢るのが趣味になりました。

蓮SIDE④ 俺みたいな

三回目は、俺から誘った。

何が食べたいか聞かれたけれど、いくつか浮かんだ店は、どこでもよかった。真帆さんに聞き返すと、落ち着いた雰囲気のレストランのページが届いた。

ドレスコードがあるので、少し綺麗めで来てほしいらしい。

『ジャケットあればいい?』

大丈夫だと返ってきたので、クローゼットを開けた。

白いシャツを当ててみたけれど、少しかしこまって見える。黒のタートルネックに替え、ジャケットを羽織った。

こっちかな。

鏡の前で横を向く。真帆さんは、どんな格好で来るんだろう。

当日はワンピースだった。

いつもより少し華やかで、歩いてくるのを見て姿勢を起こす。俺に気づいた彼女の足が、わずかに緩んだ。

あ、見てる。

「おねーさん」

片手を上げると、近づいてきた真帆さんが笑った。

「お待たせ」
「俺も今来た」

俺の服を、もう一度見た。気に入ったらしい。

「これで大丈夫?」
「うん。素敵。似合ってる」
「よかった」

少し迷ったけれど、これにしてよかった。

「おねーさんも、いつもと違うね」
「お店に合わせてみた」
「似合ってる」

本当に似合っていた。真帆さんは笑って礼を言うと、店の方向へ歩き出した。

信号待ちで、また視線を感じた。横断歩道の先を見たまま少し待っても、まだ見ている。

「何?」

顔を向けると、彼女の目が俺の目に移った。

「ジャケットも似合うなと思って」
「さっきも言った」
「うん。もう一回思ったの」

思わず笑った。

見ていたのがばれても、取り繕わない。そういうところは、初めて会った日と変わらなかった。

信号が青になる。

「行こ」

真帆さんと並んで、横断歩道を渡った。
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