三十三歳、イケメン男子にご飯を奢るのが趣味になりました。
注文を済ませると、蓮くんが会社の名前を教えてくれた。

前に説明会へ行った、オフィスの家具などを扱うメーカーだった。あの冊子に載っていた、明るいオフィスの写真を思い出す。

「営業?」
「うん。何を担当するかは、入ってから決まるけど」
「そっか。どうして、そこにしたの?」

蓮くんは、少し考えてから話し始めた。

「社員の人と話して、働いてるところが一番想像できた。大変なことも、結構教えてくれたし」
「どんな?」
「商品を覚えるのも大変だし、納期の調整とか、思ったとおりにならないことも多いって」

聞きながら頷くと、彼は続けた。

「でも、話してる本人が面白そうだったんだよね。納めてから、使ってる人に話を聞けるのもいいなと思った」

説明会の帰りにも、そんなことを言っていた。実際に働く人や、使う人の話を知りたいと。

「人の話を聞くの、好きなんだね」
「そうかも。自分じゃ思いつかないこと聞けるし」
「蓮くん、結構覚えてるものね」

彼が私を見て笑った。

「真帆さんの、最初の案に戻った話とか」
「それは忘れてくれていいんだけど」
「印象に残ってる」

ちょうど料理が運ばれてきたので、私はそちらへ向き直った。彼はまだ笑っていた。
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