三十三歳、イケメン男子にご飯を奢るのが趣味になりました。
別の子と食事をした日は、途中から、住んでいる場所をやけに細かく聞かれた。
駅名を濁しても、乗り換えはどこか、駅から歩くのかと話が続く。

「そのへんは内緒」

笑って答えると、相手も笑ったけれど、店を出てからまた、どっちの電車かと聞かれた。
私は通りを見て、空車のタクシーに手を上げた。

「今日はこれで帰るね」
「あ、そうなんだ」
「うん。じゃあ、おやすみ」

乗り込んでドアが閉まってから、運転手さんに行き先を告げる。
車が走り出して、ようやく肩の力を抜いた。

あの子とは、もう会わなくていいかな。
何人かとやり取りをするうちに、条件が合わず、そのまま終わることもあった。
実際に食事をして、また誘いたくなる子もいた。

会うのは、私が外食したい日。行くのは、私も食べてみたいお店。

美味しいものを食べて、他愛のない話をする。向かいには、顔のいい男の子。帰ってから今日の料理を思い出していると、ついでに、その子が嬉しそうに笑った顔も浮かんでくる。

それがなかなか、悪くなかった。

気づけば、気になるお店を見つけるたび、一緒に行く相手を考えるようになっていた。
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