黒蝶 ~誰よりも大切な君~
「その日、お前に約束した」

「約束……?」

「俺が、光莉を守るって」

光莉の胸が、きゅっと締めつけられる。

「でも、冬真くんは急にいなくなったよね」

「ああ。親の都合で引っ越した」

冬真の指が、写真の中の幼い光莉に触れる。

「連絡先も分からなくなった。何度も探したが、見つけられなかった」

「……探してくれてたの?」

「当たり前だ」

冬真は顔を上げ、まっすぐ光莉を見つめた。

「忘れたことなんて、一度もない」

その言葉に、光莉の目が潤む。

「私、何も覚えてなくて……ごめんね」

「謝るな」

冬真は光莉の前に膝をつき、目線を合わせた。

「忘れていたことより、今ここにいることのほうが大事だ」

優しく頬に触れられ、光莉は息を止める。

「冬真くん……」

「昔みたいに呼べ」

「え?」

「冬真くん、じゃなくて」

冬真の瞳が、少しだけ柔らかくなる。

「昔は、とうまって呼んでただろ」

「……とうまくん」

その瞬間、冬真の表情がわずかに崩れた。

冷たい仮面の奥から、幼い頃の少年が顔を出したようだった。
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