今宵、黒蝶を溶かして。
「……もう一回」

「とうまくん」

「もう一回」

「とうまくん……」

冬真は満足そうに目を細めると、光莉の手を取った。

「これからは、俺のそばにいろ」

「でも、迷惑じゃ……」

「迷惑なら、こんなに甘くしてない」

「甘いって……」

「自覚がないのか?」

冬真は光莉の手の甲に、そっと唇を落とした。

触れるだけの優しい仕草なのに、光莉の顔は一気に熱くなる。

「お前だけだ」

「……え?」

「俺が、こんなふうに触れるのも、気にかけるのも」

冬真は光莉の手を握り直した。

「全部、お前だけ」

窓の外では、三日月が静かに輝いている。

光莉はその光を見つめながら、そっと冬真の手を握り返した。

失ったと思っていた居場所が、今はここにある。

そして、幼い頃の約束は――今度こそ、途切れない。

「今度は、絶対に離さない」
冬真の低い声が、静かな部屋に響いた。

光莉の心が、少しずつ溶けていく。
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