今宵、黒蝶を溶かして。
冬真は光莉の前に立ち、逃げ道を塞ぐように見下ろす。

「お前をひとりにするつもりはない」

「……そんなに心配しなくても」

「心配する」

即答だった。

「お前は親に見捨てられて、行く場所もなかった。そんな状態で、平気な顔をするな」

冬真の瞳には、怒りと不安が混ざっていた。

光莉は、彼が自分を責めているように見えて、そっと冬真の袖をつまむ。

「冬真くんのせいじゃないよ」

「分かっている」

「じゃあ、そんな顔しないで」

「どんな顔だ」

「……苦しそうな顔」

冬真は黙り込んだ。
< 15 / 25 >

この作品をシェア

pagetop