今宵、黒蝶を溶かして。
冬真はため息をつき、ドアを開けた。

「お前ら、聞いていたのか」

「聞こえてきたんだよ!」

迅が笑いながら答える。

「で、光莉ちゃんの部屋はどうする?」

「俺の隣」

「近すぎねぇか!?」

「何か問題があるか」

「ありすぎるだろ!」

蓮司が頭を抱える横で、玲央は冷静にうなずいた。

「安全面を考えれば、総長の隣が一番いいだろう」

「玲央まで!?」

伊織は微笑みながら、光莉を見る。

「光莉ちゃんが安心できるなら、それでいいんじゃないかな」

みんなの視線が集まり、光莉はおろおろしてしまう。

すると冬真が、光莉の肩にそっと手を置いた。

「無理に決めなくていい。嫌なら断れ」

「……ううん」

光莉は冬真を見上げる。

彼は、強引に見えて、最後には必ず自分の気持ちを優先してくれる。

「ここにいたい」

冬真の瞳が揺れた。

「本当に?」

「うん。冬真くんのそばなら、安心できるから」

ほんの一瞬、冬真が息を止める。

そして次の瞬間には、光莉を自分の腕の中へ引き寄せていた。

「……分かった」

耳元で、低い声が響く。

「今日から、お前は俺の隣にいろ」

その言葉に、廊下から一斉に声が上がった。

「出た! 総長の独占宣言!」

「冬真、顔が完全に甘いぞ!」

「これはもう、同居というより保護者だね」

冬真は全員を睨みつける。

「黙れ」

けれど光莉を抱く腕だけは、少しも緩まなかった。

こうして三日月光莉は、黒蝶のアジトで暮らすことになった。

女嫌いで、誰にも心を許さない総長――御影冬真。

そんな彼が、光莉にだけは過保護で、甘くて、どうしようもなく一途だった。

ふたりの同居生活が、始まる。
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