今宵、黒蝶を溶かして。

○第五話 黒蝶の執着

光莉が黒蝶のアジトで暮らし始めて、三日が経った。

冬真は、光莉の部屋を整えすぎていた。

柔らかなカーテン。
肌触りのいい毛布。
体調を崩したときのための薬や飲み物。
さらには、光莉が好きそうな本まで用意されている。

「……総長、これ全部ひとりで?」

蓮司が部屋を見回し、呆れた声を出した。

「必要なものを揃えただけだ」

「いやいや、ぬいぐるみまであるけど?」

「光莉が怖がらないように置いた」

「過保護すぎるだろ!」

その声を聞きつけ、光莉が廊下から顔を出す。

「どうしたの?」

冬真はすぐに光莉へ歩み寄った。

「寒くないか」

「大丈夫だよ」

「喉は渇いていないか」

「うん」

「眠れているか」

「ちゃんと眠れたよ」

矢継ぎ早に尋ねる冬真を見て、迅が吹き出した。

「総長、光莉ちゃんが起きてから一分も経ってねぇぞ」

「うるさい」

そのとき、玲央が光莉の手に視線を落とした。
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