黒蝶 ~誰よりも大切な君~
「初対面で総長を怒らせるな。面倒だから」

現れたのは、黒瀬玲央だった。

鋭い目つきと整った顔立ち。
冬真の隣に立つ姿は、まさに右腕という言葉が似合っている。

玲央は光莉を見つめると、少しだけ表情を和らげた。

「黒瀬玲央。副総長をしている」

「三日月光莉です……」

「知っている。冬真から何度も聞いていた」

「えっ?」

光莉が冬真を見上げる。

冬真は、気まずそうに視線を逸らした。

「余計なことを言うな、玲央」

「事実だろ」

そのとき、ふわりとした笑顔を浮かべた青年が近づいてきた。

「僕は白石伊織。情報担当だよ」

優しそうな声。
けれど、その瞳の奥には何を考えているのか分からない光が宿っている。

「光莉ちゃんが来てくれて嬉しいな。ここは少し騒がしいけど、怖がらなくていいからね」

「ありがとうございます……」

「ただし、冬真に何かされたらすぐ僕に言ってね」

「伊織」

冬真の声が低くなる。

伊織はにこりと笑った。

「冗談だよ」

「絶対に違うだろ」

最後に、壁にもたれていた早乙女蓮司が口を開いた。
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