黒蝶 ~誰よりも大切な君~
「それにしても……」

蓮司は冬真と光莉を交互に見た。

「総長、さっきからずっと光莉ちゃんの手を握ってない?」

「……」

「しかも、めちゃくちゃ優しい顔してる」

「していない」

「いや、してるって。俺らには一回も見せたことない顔だし」

迅が吹き出し、玲央までわずかに口元を緩めた。

冬真は不機嫌そうに眉を寄せる。

「全員、黙れ」

けれど、光莉の手は決して離さなかった。

それどころか、光莉の顔色が少し悪いことに気づくと、すぐに彼女の肩へ自分の上着をかける。

「寒いか」

「う、ううん……大丈夫」

「無理をするな」

「でも……」

「俺が大丈夫じゃない」

その言葉に、アジトの空気が一瞬で静まり返った。

迅が目を見開く。

「……冬真が、そんなこと言うなんて」

蓮司は口元を押さえた。

「これは重症だな」

「何がだ」

「光莉ちゃん限定の激甘病」

冬真は蓮司を睨んだが、光莉が不安そうに見上げると、すぐに表情を和らげた。
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