浪費家王子に婚約破棄されましたが、王女だった(隠れ)王子に財務相談役として囲い込まれています

第3話:夜会にて


 仕立屋の店内は、どこか浮き足立った狂騒に包まれている。

 クリスチャン王子が男性と認められて以来、初めて王城で夜会が開かれることになった。
 正式なお披露目の場である。
 招待状の届いたご令嬢たちはひいきの仕立て屋に我先にと集まり、色鮮やかな絹織物や、細工の細かなレースに目を輝かせた。

「私、新しいドレスを注文したの」

 一人の令嬢が、新調したばかりの豪奢な生地を体に当てながら誇らしげに胸を張った。

「私もよ。東方製の絹を使うんだから」

 別の令嬢が負けじと、扇を揺らす。

「あなたは婚約者がおいででしょ、この浮気者」
「あら、結婚しているわけではないもの。私にだってチャンスはあるわ」

 令嬢たちの頭に浮かぶのは、半年前に突如として表舞台に現れた第二王子、クリスチャンの存在だ。
 彼の見事な政治手腕は瞬く間に国中に轟いた。健康を取り戻した国王の良きサポート役として多くの仕事をこなしている。

 クリスチャン王子は、今やこの国の希望そのものだ。

 社交界では、彼の婚約、結婚の行方といった華やかな話題で持ちきりだった。未婚の令嬢は誰もがその座を狙い、虎視眈々と機を窺っている。


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