浪費家王子に婚約破棄されましたが、王女だった(隠れ)王子に財務相談役として囲い込まれています
御前会議が閉会した。
緊張しきりだったシャルロットは、会議が終わるなり、引きずられるようにクリスチャンの執務室へと移動した。
疲労が濃く、断る気力もない。
シャルロットはクリスチャンと彼の乳母であるマージに囲まれて、ようやく緊張の糸を解いていた。
「お疲れ様。それから、ありがとうロティ。期待以上だった」
クリスチャンが穏やかな笑みを浮かべて労うと、マージが温かい湯気の立つカップをテーブルに置いた。
「さあ、お疲れでしょう。あたたかいミルクティーをどうぞ」
給仕をしてくれたマージにお礼を言いながらも、シャルロットの不安は消えない。
「大丈夫だったでしょうか、私、つい国防の話まで……」
シャルロットは、気後れしながら呟く。
ただの財務の相談役が、国家の軍備にまで口を挟むのはやはり出過ぎた真似だったかもしれない。
しかしクリスチャンは首を振った。
「言ってくれてよかったよ。避けては通れない話題だし、予算が絡むことだ」
彼の言葉に、シャルロットはほっと息をついた。
「殿下、騎士団の帳簿類をお借りできますか? 人件費や拠点の管理費などが分かれば、現実的なラインで検討できるかもしれません」
「わかった。用意させよう。今日も泊まり込むかい?」
「はい、城に居れば夜通し作業ができますから」
シャルロットが当たり前のように答えると、クリスチャンの眼差しが不意に低く、熱を帯びたものに変わった。
「あまり無理をしないでくれ。君が倒れたらと思うと、気が気じゃない」
その低く響く声と、まっすぐに自分を見つめる男性らしい視線に、シャルロットは己の心臓が跳ねるのを自覚した。
頬が熱くなるのを隠すように、視線を泳がせる。