浪費家王子に婚約破棄されましたが、王女だった(隠れ)王子に財務相談役として囲い込まれています
「シャルロット。お前との婚約を破棄する!」
きらびやかなシャンデリアの光が降り注ぐ大広間。派手に飾り立てられた部屋の中央で、フェルナンドの傲慢な声が鼓膜を打った。音楽は止まり、夜会に参加していた貴族たちが一斉に注目する。
フェルナンドの隣には、勝ち誇った顔で彼に寄り添う子爵令嬢、リリアンナ・ベルモンドの姿があった。
「リリアンナにした数々の嫌がらせ、知らぬ存ぜぬでは通せないぞ。ふん、少し頭が回るからと言って、思いやりの欠けた人間が未来の王妃になど相応しいはずもない」
身に覚えがない。嫌がらせなど、とんでもない濡れ衣だ。
頭の中が真っ白になり、足元がぐらりと揺れる。
「俺はお前との婚約破棄をし、心優しいリリアンナと婚約することにした。もちろん、病床の父上もご納得済みだ」
フェルナンドがリリアンナの腰を抱き寄せ、冷たく言い放つ。
彼女の胸に下がるのは、先月、フェルナンドが宝石店で購入したルビーの首飾りだ。どれだけ倹約に努め無駄を省いても、浮いたお金をすぐに散財してしまう。そのことについて、彼に苦言を呈したばかりだった。
フェルナンドの胸に寄り添ったリリアンナは、シャルロットと目が合うと、周囲から顔を隠しながら不遜に笑う。
ニヤリ。
フェルナンドが子爵令嬢と密通していることには気付いていた。だが、いつもの火遊びだと思っていたのだ。
まさか、ペンブローク公爵家との繋がりという政治的背景を無視し、このような暴挙に出るとは予想しきれていなかった。
好かれてないまでも、未来の王妃としては期待してくれていると信じていたのに……。
「分かったら、さっさとこの城から出ていけ!」
婚約破棄により迷惑をかけるであろう父への申し訳なさと絶望で、シャルロットの指先は冷たく震えた。
周囲から聞こえてくる貴族たちの囁き声は、冷たくシャルロットの耳へ忍び込んでくる。
「王子の財産管理を代行するなど、気が早すぎたわね」
「財務大臣気取りで、フェルナンド様に色々と指示していたようよ」