浪費家王子に婚約破棄されましたが、王女だった(隠れ)王子に財務相談役として囲い込まれています
シャルロットは、机の上に広げたエルグレコ王国への利率交渉の書状を見つめた。
「一割五分に利率を引き下げていただきたく……」
隣に立つクリスチャンを見上げる。
「うまくいくと良いのですが」
「そう願うしかない」
クリスチャンは静かに応じ、書面を受け取った。押印と封は国王にお任せする手はずになっている。
彼は、隣の机に広げた地図へと視線を移した。
「そういえば、閉山したガルデンヒル鉱山を掘っていた者たちに連絡が取れたよ。すでに農業に従事しているという事だが、小作だ。うまく交渉ができれば、新しい鉱山の採掘に、チームごと入ってもらえるかもしれない」
国の新たな財源として、休眠状態にある鉱山の採掘再開は不可欠だ。
クリスチャンはシャルロットをまっすぐに見つめる。
「せっかくだから鉱山の視察に行こうと思うんだが、君も一緒にどうかな?」
「私が行ってはお邪魔ではありませんか?」
シャルロットが少しだけ不安をのぞかせると、クリスチャンはそれを宥めるように微笑んだ。
「中腹まで掘ってあるのだけど、僕たちが入るのは安全な手前の部分までだ。鉱山の雰囲気や規模を見れば、今後の予算を立てる際にも参考になるかと思って」
書類上の数字としてではなく、実際の現場を見て予算を精査できることは、財務相談役として大きな意味を持つ。
何より、彼の力になりたいという思いがシャルロットの背中を押した。
「ありがとうございます。喜んで、お供をさせていただきます」
シャルロットの確かな返答に、クリスチャンの目元が柔らかく緩んだ。
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