浪費家王子に婚約破棄されましたが、王女だった(隠れ)王子に財務相談役として囲い込まれています
だが、国王は動じることなく、ただ静かに言い放った。
「構わぬ。クリスがおる」
宰相は鼻で笑い、軽蔑の眼差しをクリスに向けた。
「いえ、クリスティーヌ様は王女でいらっしゃいます。いくら陛下のお子様と言えど、女である以上その位を継ぐことはできません。フェルナンド様は、我が国にいていただかなくてはならない人物です」
周囲の貴族たちも、宰相の言葉に同意するように頷き合う。
『やはりフェルナンドを残すしかないのだ』と、誰もが思い始めたその時だ。
クリスが、迷いのない足取りで、宰相とフェルナンドの前に進み出た。その瞳には、これまでの温和な彼女の影はどこにもない。
「陛下のお声が聞こえませんでしたか? 私がいます」
そう告げたクリスは、自らの首元に手をかけた。
結ばれていたリボンが滑り落ちる。
さらに、躊躇うことなくドレスの肩を滑らせ、その服を乱暴に引きちぎるようにして脱ぎ捨てた。
青い絹のドレスが床に広がり、その下に隠されていたものが完全に露わになる。
会場の全員が、息をすることすら忘れた。
王女の胸には、なだらかな膨らみが一切ない。
引き締まった、紛れもない青年の上半身が現れた。
予想に反し胸板はがっしりと厚く、肩幅は広い。
布地に隠されていた逞しい鎖骨のラインが明かりに照らされ、その上には堂々とした喉仏が見えた。
目の前の光景が信じられず、シャルロットはただ目を見開いた。
ずっと自分に寄り添い、共に王国の未来を憂いてくれた、あの優しく美しい親友の姿が、目の前の逞しい身体と重ならず、頭が混乱する。
ドレスをはだけ堂々と胸を張ったクリスは、怯む宰相とフェルナンドを鋭い眼光で見下ろした。
「私は男だ」