浪費家王子に婚約破棄されましたが、王女だった(隠れ)王子に財務相談役として囲い込まれています
「父の薬を処方していた医者に自白させました。金で雇った人間ですからね、倍額を渡すと言ったらすぐに吐きましたよ。……父に処方していたのはゴロブ草。あなたの出身国でよく使われる毒薬草です。まもなく、仕入れた筋もハッキリするでしょう」

 差し出された鑑定書を目にした王妃は、声を失ってへたり込んだ。わなわなと震えている。
 フェルナンドは必死の形相で叫んだ。

「クリス、お前こそ父上すら騙し性別を偽るなどとんでもない! ですよねえ父上? これは国家に対する大きな罪ですよ!」

 フェルナンドは父である国王の腕に縋った。彼の額から、大粒の冷や汗が流れ落ちる。
 だが、国王はその手を冷たく振り払った。

「性別を偽らせたのは私の指示だ。息子たちが権力を争うのを見たくなかった。だが、その努力も無駄だったな」
「あ……」

 フェルナンドの口から、間の抜けた音が漏れる。国王は会場を見渡し、威厳に満ちた声を張り上げた。

「国王である私を屠ろうとした大罪。これは看過できん。王妃とは離縁。フェルナンドの王位継承権を永久にはく奪し、母親とともに国外追放とする」

 その宣告が下った瞬間、近衛兵たちが一斉に動き、王妃とフェルナンドの腕を掴んだ。

「離せ! 私はこの国の王子だぞ!」

 見苦しく叫び、引きずられながら連行されていく元婚約者。

 シャルロットはその光景を、ただ呆然と見送るしかなかった。
 国王の言葉はまだ続く。

「これを持ち、我が娘クリスティーヌは消え、新たに息子クリスチャンの誕生とする。王位継承権はクリスチャンのものとし、クリスチャンの全ての権利をここに復活させよう」

 拍手と歓声が湧き起こる。

 王の復活を喜ぶ会場の真ん中で、シャルロットの視界だけが、どこか現実味を失って白く霞んでいた。



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