恋の花火がきえる時。
「光輝って、優しいね」
「……どこが」
「こういうところ」
「意味分からない」
「分からなくてもいいよ」
理紗はそう言って、光輝の横を歩いた。
その帰り道。
空は夕焼け色に染まっていた。
学校から駅へ向かう生徒たちの波を抜け、ふたりはいつもの道を歩く。
理紗は今日あったことを、ひとつずつ光輝に話していた。
「図書室の先生、優しかったね」
「ああ」
「美咲ちゃん、明日一緒にお昼食べようって言ってくれたの」
「ああ」
「それからね、クラスの男の子が――」
「……男?」
光輝が足を止めた。
「うん。数学の教科書を見せてくれてね」
「なんで」
「教科書を忘れたからじゃない?」
「そうじゃなくて」
「え?」
理紗が首を傾げる。
光輝は何か言いかけたけれど、すぐに口を閉じた。
「……別に」
「今日、別にって何回言った?」
「数えてるのか」
「光輝の口癖だから」
理紗は笑いながら歩き出す。
光輝はその背中を見つめ、少し遅れて後を追った。
しばらくすると、理紗の歩く速度がゆっくりになる。
「理紗?」
「ん?」
「疲れたのか」
「ううん。ちょっと夕焼けが綺麗だなって思って」
理紗は足を止め、空を見上げた。
赤く染まった雲の間から、細い月が顔を出している。
「……どこが」
「こういうところ」
「意味分からない」
「分からなくてもいいよ」
理紗はそう言って、光輝の横を歩いた。
その帰り道。
空は夕焼け色に染まっていた。
学校から駅へ向かう生徒たちの波を抜け、ふたりはいつもの道を歩く。
理紗は今日あったことを、ひとつずつ光輝に話していた。
「図書室の先生、優しかったね」
「ああ」
「美咲ちゃん、明日一緒にお昼食べようって言ってくれたの」
「ああ」
「それからね、クラスの男の子が――」
「……男?」
光輝が足を止めた。
「うん。数学の教科書を見せてくれてね」
「なんで」
「教科書を忘れたからじゃない?」
「そうじゃなくて」
「え?」
理紗が首を傾げる。
光輝は何か言いかけたけれど、すぐに口を閉じた。
「……別に」
「今日、別にって何回言った?」
「数えてるのか」
「光輝の口癖だから」
理紗は笑いながら歩き出す。
光輝はその背中を見つめ、少し遅れて後を追った。
しばらくすると、理紗の歩く速度がゆっくりになる。
「理紗?」
「ん?」
「疲れたのか」
「ううん。ちょっと夕焼けが綺麗だなって思って」
理紗は足を止め、空を見上げた。
赤く染まった雲の間から、細い月が顔を出している。