恋の花火がきえる時。
「……分かった」

 理紗がベンチに座ると、光輝は自動販売機へ向かった。

 しばらくして、冷たい飲み物を持って戻ってくる。

「はい」

「ありがとう」

「一気に飲むなよ」

「分かってるよ」

 理紗は受け取った飲み物を両手で包んだ。

「光輝って、本当に優しいね」

「優しくない」

「じゃあ、何?」

「……放っておけないだけ」

「それを優しいって言うんだよ」

 理紗が微笑む。

 光輝は返事をしなかった。

 ただ、理紗の隣に座り、彼女が落ち着くまで黙ってそばにいた。

 やがて、次の測定が始まる。

「光輝、行ってきていいよ」

「まだいい」

「でも、光輝の番でしょ?」

「後で行く」

「私ならもう平気だから」

「……本当に?」

「うん。本当に」

 理紗は、今度は少しだけ自然に笑った。

 光輝はその表情をじっと見つめる。

 まだ心配そうだったけれど、やがて立ち上がった。

「絶対に無理するな」

「しないよ」

「苦しくなったら言え」

「分かった」

「約束だからな」

 その言葉に、理紗は一瞬だけ目を丸くした。

 そして、嬉しそうに笑う。
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