恋の花火がきえる時。
「うん。約束」

 光輝は校庭へ向かった。

 理紗はその背中を見つめながら、胸の奥に手を当てる。

 まだ少し、鼓動が速い。

 けれど今は、それよりも光輝の優しさが嬉しかった。

 光輝は走り幅跳びの列に並ぶ。

 周りの男子たちが声をかけてきた。

「近藤、さっき岩下さんのこと、めちゃくちゃ心配してたじゃん」

「幼なじみだからだろ」

「それだけ?」

「……うるさい」

 光輝はそう言って、助走を始めた。

 勢いよく踏み切り、砂場へ着地する。

「すげー!」

 歓声が上がった。

 けれど光輝は、すぐに理紗のほうを見た。

 ベンチに座っている理紗が、こちらに向かって大きく手を振っている。

「光輝、すごい!」

 その笑顔を見て、光輝はほんの少しだけ口元を緩めた。

「……別に」

 誰にも聞こえない声で、そう呟く。

 その日の体力測定で、光輝の記録はクラスで一番だった。

 でも本人が一番嬉しかったのは、理紗が最後まで笑っていてくれたことだった。
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