恋の花火がきえる時。
第四話
帰り道。
「今日は光輝に助けてもらってばっかりだったね」
「別に」
「また言った!」
「気にするな」
「明日は私が光輝を助けるね」
「おまえに助けられるほど弱くない」
「じゃあ、困ったときは絶対に言ってね」
理紗は、光輝の顔を覗き込んだ。
「私も光輝のこと、助けたいから」
光輝の足が止まる。
夕暮れの光が、彼の横顔を赤く染めていた。
「……おまえは、自分の心配だけしてろ」
「どうして?」
「俺は大丈夫だから」
光輝はそう言って、先に歩き出す。
理紗は少し遅れて、その背中を追いかけた。
「光輝も、いつも大丈夫って言うよね」
「俺は本当に大丈夫だ」
「じゃあ、約束して」
「何を」
「ずっと元気でいること」
光輝は答えなかった。
理紗は気にせず、小指を差し出す。
「ほら、指切り」
光輝は、その小さな指を見つめた。
しばらくして、静かに自分の小指を絡める。
「……約束する」
その約束が、いつかふたりを苦しめることを知らないまま。
理紗は、嬉しそうに笑った。
光輝はその笑顔を守るように、絡めた小指をそっと握り直した。