恋の花火がきえる時。
「……っ」

 足が止まる。

 息が吸えない。

 理紗の手から、傘が滑り落ちた。

「理紗?」

 光輝がすぐに振り返る。

「大丈夫……」

 いつもの言葉を口にしようとした。

 けれど、声にならなかった。

 胸を押さえたまま、理紗の身体がふらつく。

「理紗!」

 光輝が肩を支えた。

「息、できるか?」

 理紗は返事ができない。

 視界が滲み、雨音だけが遠くなっていく。

「理紗、俺を見ろ」

 光輝の声が震えていた。

「ゆっくりでいい。息を吸え」

「……くす、り……」

「薬?」

 理紗は震える手で、制服のポケットを探った。

 けれど、そこには何も入っていない。

 薬は鞄の中だった。

 光輝が鞄を開けると、教科書の隙間から白い薬袋が落ちた。
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