恋の花火がきえる時。
「もう隠すな」

「光輝……」

「苦しいときは、苦しいって言え。薬が必要なら、俺に言え」

「でも、光輝に迷惑が――」

「迷惑じゃない」

 光輝は、理紗の言葉を遮った。

「おまえが一人で苦しんでるほうが、迷惑だ」

 理紗は目を見開いた。

 光輝は、濡れた傘を拾い上げる。

 そして、理紗の肩に自分の上着をかけた。

「帰るぞ」

「光輝は……怒ってる?」

「怒ってる」

「やっぱり……」

「でも、おまえにじゃない」

「じゃあ、誰に?」

 光輝は答えなかった。

 ただ、理紗の歩幅に合わせて、ゆっくり歩き始める。

 しばらくして、理紗が小さな声で尋ねた。

「光輝、これからも一緒に帰ってくれる?」

「当たり前だろ」

「病気でも?」

 光輝の足が止まった。

 雨が、傘を叩いている。

「病気だから何だよ」

「……嫌にならない?」

「なるわけない」

 光輝は理紗をまっすぐ見た。

「おまえが病気でも、天然でも、危なっかしくても……理紗は理紗だろ」

「光輝……」

「だから、勝手にいなくなるな」

 その言葉に、理紗の胸がまた痛んだ。
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