恋の花火がきえる時。
次の瞬間、光輝は私をそっと抱きしめた。

「……理紗」

 耳元で名前を呼ばれる。

 その声が震えていて、私は光輝の制服をぎゅっと握った。

「好きだ」

 何度も聞いた言葉なのに、今までで一番胸に響いた。

「俺は、おまえが思ってるよりずっと前から、理紗が好きだった」

「……いつから?」

「分からない」

 光輝は少しだけ腕の力を緩めた。

「気づいたら、おまえを探してた。笑ってると安心して、苦しそうにしてると怖くなった」

「光輝……」

「誰にも渡したくないと思った」

 その言葉に、また涙がこぼれる。

「私も、光輝を誰にも渡したくない」

「……ああ」

 光輝は私の頭に手を置いた。

「じゃあ、これからも俺の隣にいろ」

「うん」

「勝手に離れるな」

「光輝もね」

「分かってる」

「約束だよ?」

 私は小指を差し出した。

 光輝は苦笑しながら、その小指に自分の指を絡める。

「約束」

 夕暮れの空に、一番星が浮かんでいた。

 私たちは恋人になった。

 嬉しくて、幸せで、夢みたいだった。

 けれど光輝は、絡めた小指を見つめながら、胸の奥でひとつだけ願っていた。

 ――この幸せが、少しでも長く続きますように。

 その願いを、私は知らない。

 ただ光輝の隣で笑いながら、何度も繰り返した。

「光輝、大好き」

 光輝は一瞬、目を閉じた。

 そして、私を抱きしめたまま答える。

「……俺も、理紗が大好きだ」

 その声は優しくて、少しだけ泣きそうだった。
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