恋の花火がきえる時。
雨に濡れて帰ったせいか、その夜から身体が重かった。

 ベッドに入っても、寒気が止まらない。
 胸の奥も、いつもより苦しい。

 けれど、光輝に連絡することはできなかった。

『もう俺に構うな』

 昼間の言葉が、何度も頭の中で繰り返される。

「……光輝なんて、嫌い」

 そう呟いた声は、ひどく弱かった。

 本当は嫌いになんてなれない。

 大好きだから、苦しい。

 スマートフォンを手に取る。
 光輝の名前を開いて、メッセージを打つ。

『今日、少しだけ苦しくて――』

 そこまで入力して、全部消した。

「送れないよ……」

 もう迷惑をかけないと決めたから。

 その夜、熱が出た。

 母が気づいて病院へ連絡しようとしたけれど、私は何度も「大丈夫」と繰り返した。

 大丈夫じゃないことくらい、自分でも分かっていた。

 それでも、光輝には知られたくなかった。

 嫌われたまま、心配をかけたくなかった。
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