恋の花火がきえる時。
「……光輝?」

「その日、体調がよかったらな」

「えっ」

「無理はできない」

 胸の奥が、少しだけ冷たくなった。

 最近の光輝は、時々ひどく疲れた顔をする。
 授業中にぼんやりしていることも増えた。

「病院の日?」

「ああ」

「いつ?」

「まだ分からない」

「そっか……」

 私は笑おうとした。

「じゃあ、光輝の体調がよかったら一緒に行こう」

 光輝は、私を見つめた。

「理紗」

「なに?」

「もし、俺が行けなかったら――」

「行けるよ」

 私は光輝の言葉を遮った。

「一緒に行ける。だって、約束するもん」

 小指を、光輝の前にもう一度差し出す。

「花火、光輝と見たい」

 光輝はしばらく黙っていた。

 やがて、ゆっくりと自分の小指を絡める。

「……分かった」

「本当?」

「ああ。行く」

「絶対?」

「絶対」

 その言葉を聞いて、胸がいっぱいになった。
< 70 / 90 >

この作品をシェア

pagetop