恋の花火がきえる時。
私はその場で立ち尽くしていた。

 白い壁。
 消毒液の匂い。
 静かな廊下。

 ここに来るたび、光輝の病気が現実になる。

「理紗」

 名前を呼ばれて振り返る。

 廊下の奥から、医師が歩いてきた。

「近藤くんは、今処置を受けています」

「会えますか?」

「少しだけなら」

 案内された病室の扉を開けると、光輝がベッドに横たわっていた。

 顔色が悪い。

 腕には点滴がつながっている。

「光輝……」

 呼びかけると、光輝がゆっくり目を開けた。

「……理紗?」

「うん」

「どうして来た」

「迎えに行ったのに、いなかったから」

「学校は」

「休んだ」

「駄目だろ」

「光輝に言われたくないよ」

 笑おうとしたけれど、声が震えた。

 光輝は、そんな私を見て小さく息を吐く。

「泣くなよ」

「泣いてない」

「泣いてる」

「光輝が、こんなところにいるから……」

 涙が落ちる。

 光輝は少し迷ってから、点滴のついていないほうの手を伸ばした。
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