恋の花火がきえる時。
「ありがとう」

「別に。見てて危なっかしいから」

「それ、今日何回目?」

 理紗が笑うと、光輝は返事をしなかった。

 そのとき、担任の先生が教室へ入ってくる。

「はい、席について。今日から一年間、このクラスで過ごします」

 みんなが席に座り始める。

 理紗も椅子に腰を下ろした。

 その瞬間、胸の奥がかすかに苦しくなった。

 けれど、理紗はそっと制服の胸元を押さえただけで、すぐに手を膝の上へ戻した。

 大丈夫。

 今日は特別な日だから、少し緊張しているだけ。

 そう自分に言い聞かせる。

「岩下さん」

 前の席の女の子が振り返った。

「よかったら、友達にならない?」

「もちろん! 私、岩下理紗。よろしくね」

「私は小野寺美咲。よろしく!」

 美咲と笑い合っていると、後ろから低い声が聞こえた。

「理紗」

「なあに?」

「先生、こっち見てる」

「えっ」

 前を見ると、担任の先生がこちらを見ていた。

「岩下さん、近藤くん。入学初日から仲がいいのは結構ですが、今は話を聞いてくださいね」

「す、すみません!」

 理紗が慌てて頭を下げる。

 隣の美咲が、くすくす笑った。

「近藤くんと幼なじみなの?」

「うん。家も近くて、小さい頃からずっと一緒なの」

「へえ、いいなあ。なんだかお似合い」

「えっ!?」

 理紗の頬が一気に熱くなる。
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