君のいない世界で恋はできない

ある日、また駆けていく初音を呼び止めて、抱き締めた。


「えへへー」


初音は嬉しそうに頬擦りをしてくる。

期待してしまう。

俺のこと、男として好きなのかなと。


「やけに嬉しそうじゃん」

「和翔、いつもあったかいから好きー。えへへ」


そう、簡単に好きとか言うなよ。

希望もたせないでくれよ。

振られるのが怖くて仕方なくなる。


「…今度ちょっと出かける?」

「うん、ママには内緒ね」

「ちゃんと言いなさい」

「はぁーい」


初音は楽しそうに笑う。

そうやって笑うから、俺の心奪ったんだろ。

責任取ってよ、頼むから。


そのすぐの日曜日。

俺はヘルメットを初音に渡して、バイクの後ろに乗せる。


「しっかり掴まっとけよ」

「はぁーい」


俺の胴体にしっかり腕を回して、


「スタートぉぉ!!」


とはしゃぐ。

走ってる間も、


「ひゅーん!」

「曲がるー!」


と、ずっとはしゃいでいた。

バイクの後ろに乗せるといつもこうだ。

可愛いからいいけど。



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