君のいない世界で恋はできない
目的のショッピングモールに着く。
「風切って気持ち良かったね!」
「うん、そうだね。ほら、はぐれると大変だから手、貸して」
「ん!」
初音は元気いっぱいに手を差し出してきた。
手を繋いだ。
確かに、初音は広くて楽しい所に来ると、はしゃいで勝手にどこかへ行ってしまうことがある。
だけどそれ以上に、たまに出かける時くらい手を繋いでみたかった。
本当は恋人繋ぎしたいくらいだ。
でも、普通の手繋ぎで我慢している俺、偉いと思う。
「何したい?」
「ご飯食べて、ゲームセンターで可愛いぬいぐるみ無いかなーって探して、雑貨屋さん行く!」
「うん、いいよ。洋服とかはいいの?」
「ん?うん」
「あー俺、参考書欲しいから、本屋も寄っていい?」
「うん!」
デートじゃん。
普通にデートじゃん。
高校生の、普通のデート。
ああー、なんとも言えないワクワク感。
「何食べよっか…」
「パスタ!」
「パスタ好きだね」
「好き!」
そんな純朴な笑顔で、好きなんて。
俺に向けて言ってくれればいいのに。
パスタを食べて、次にゲーセン。
手を繋いでいてもお構い無しに、グイグイ引っ張って、突き進んでいく。
「こーら、はしゃぎすぎない」
「ワクワクだもん!」
「はいはい」