君のいない世界で恋はできない
「初音のことバカにするな!行くよ、初音」
「…うん」
よく状況を理解していない様子の初音だが、俺は手を引いて、幸崎から距離をとった。
初音をバカにされてたまるか。
「さっきの人、友達?」
「友達なわけないでしょ。忘れていいから。あんな奴」
「ふーん…」
初音にヘルメットを被せて、抱きつかせる。
マンションに着き、俺の家の前で
「じゃあね」
と言って玄関を開けようとすると、
「和翔、ギューは?」
と、無邪気に、かつ不満げに言ってきた。
心臓がドクンとした。
なんなんだよ、可愛いこと言ってくんな、今!
普段、初音からハグ求めてこないくせに。
俺は振り向いて初音を強く抱き締めた。
「苦しぃー」
もう俺から、絶対離れるな。
そして、俺無しじゃ不安だって思ってくれよ。
俺無しじゃ嫌だって思ってくれよ。
もう俺が、初音無しじゃ生きていけない。
いつもより長く強く抱き締めた。
翌日学校にて。
「和翔ってばー。昨日はごめんって」
「は…?」
幸崎が、登校するなり俺に話しかけてきた。
「幼なじみちゃんのこと悪く言い過ぎた!ごめん!」
「許す気ないから。自分の席行けよ」
「えー!冷たい!!」