愛してるなんて、噓でしょう?
蓮 side


美月ちゃんが帰ったあと、悠真が口を開いた。

「ずいぶん楽しそうだな」

「そう?」

「彼女の前では、ずっと機嫌がいい」

俺は小さく笑った。

「美月ちゃんといると落ち着くんだ」

「それは分かった」

悠真は少しだけ表情を引き締めた。

「それで、十二年前の件はどうするつもりだ」

その言葉に、笑みが消える。

「まだ話せない」

「いつまで?」

「……もう少しだけ」

「蓮」

悠真の声が低くなる。

「あの子は、もう何も知らない子どもじゃない」

分かっている。


美月ちゃんは、自分の過去を知る権利がある。


それでも、俺にはまだ言えないことがあった。

「分かってるよ」

そう答えると、悠真は深く息を吐いた。

「なら、いつまでも逃げるな」

俺は返事をしなかった。


机の引き出しには、十二年前から大切にしまっているものがある。


それを見るたびに、あの日のことを思い出す。


そして、今度こそ彼女を失いたくないと思うのだった。

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