愛してるなんて、噓でしょう?

21話.似合わない二人

美月 side


「今度、一緒に食事に行かない?」

蓮さんから誘われたのは、莉子さんと会った数日後だった。

「いいんですか?」

「もちろん。美月ちゃんとゆっくり話したいから」

待ち合わせたのは、落ち着いた雰囲気のレストランだった。


店内に入ると、蓮さんが先に席に着いていた。

「お待たせしました」

「ううん。今来たところ」

向かい合って座る。


蓮さんはいつものように優しく笑っていた。


食事をしながら、仕事のことや最近見た映画のことを話す。


何気ない会話が続く。


けれど、私は少しだけ気になっていることがあった。

「蓮さん」

「ん?」

「一条さんと蓮さんって、周りから見るとお似合いなんでしょうね」

蓮さんの手が止まった。

「どうしてそう思うの?」

「莉子さんは綺麗だし、東條家とも昔から付き合いがあるって聞きました」

「それだけ?」

「それだけ……ではないです」

自分で言っていて、少し恥ずかしくなる。

「莉子さんと蓮さんが並んでいるところを想像すると、すごく自然な気がして」

蓮さんはしばらく私を見つめていた。

「美月ちゃん」

「はい」

「俺は莉子と結婚するつもりはないよ」

あまりにもはっきりした言葉だった。

「でも、周りの人はそう思っているんですよね?」

「そういう話が出たことはある。でも、俺が望んでいることじゃない」

「そうなんですか」

「うん」

蓮さんはテーブル越しに手を伸ばし、私の指先に触れた。

「俺が一緒にいたいと思っているのは、美月ちゃんだよ」

胸が熱くなる。

「……ありがとうございます」

「不安にさせてごめんね」

「いえ。私が勝手に気にしていただけなので」

「勝手じゃないよ。気になることがあるなら、ちゃんと聞いてほしい」

その言葉に、私は頷いた。


食事を終え、店を出る。


夜の街を歩きながら、蓮さんが私の歩幅に合わせてくれる。

「美月ちゃん」

「はい?」

「俺と一緒にいることを、無理して選ばなくていいからね」

「無理なんてしていません」

「なら、よかった」

蓮さんは優しく笑った。


その笑顔を見て、私は思う。


この人の隣にいたい。


でも、そのためには、彼が抱えているものを知りたい。


どんな過去があっても、知らないままではなく、自分の目で見て決めたい。


そう思った。

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