愛してるなんて、噓でしょう?
しばらくして。

「美月ちゃん」

また彼に呼ばれた。

「はい!」

「これ、おすすめ?」

彼が指差したのは、ショーケースに並ぶ苺のタルトだった。

「はい! とってもおいしいですよ」

「じゃあ、それも一つ」

「かしこまりました!」

苺のタルトをお皿に乗せ、彼のもとへ運ぶ。

「お待たせしました」

「ありがとう」

彼はフォークを手に取ったものの、すぐには食べなかった。

「美月ちゃん」

「はい?」

「甘いもの、好き?」

「好きですよ!」

「特に?」

「えっと……苺が好きです」

「苺か」

彼はタルトに目を落とし、少しだけ笑った。

「覚えておくね」

「え?」

「なんでもないよ」

まただ。


この人は、ときどき不思議なことを言う。


まるで、私のことを前から知っているみたいに。

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