愛してるなんて、噓でしょう?
蓮 side
「蓮。話がある」

父からの電話だった。

「何でしょう」

『一条家から連絡があった。十二年前の件についてだ』

その言葉に、表情が消える。

「今はその話をするつもりはありません」

『そうはいかない』

父の声は冷たかった。

『お前が誰を大切にしていようと、過去は消えない』

「分かっています」

『なら、覚悟を決めろ』

電話が切れる。


俺はスマートフォンを握りしめた。


美月ちゃんと恋人になれた。


これからは、もっと彼女のことを知り、俺のことも知ってもらいたい。


そう思っていた。


けれど、過去はまだ終わっていない。


俺たちがようやく始めたばかりの恋を、過去が追いかけてくる。

「蓮さん?」

振り返ると、美月ちゃんがこちらを見ていた。

「どうしたの?」

「何でもないよ」

俺はいつもの笑顔を作った。


けれど、彼女の前でさえ、まだ隠していることがある。


その事実が、胸に重く残った。

< 136 / 179 >

この作品をシェア

pagetop