愛してるなんて、噓でしょう?

39話.星のチャーム

美月 side
その日、蓮の家を訪ねた。


以前にも来たことがある場所なのに、今日は少しだけ緊張していた。

「いらっしゃい、美月」

玄関まで迎えに来てくれた蓮が、優しく微笑む。

「お邪魔します」

「そんなに緊張しなくていいよ」

「してないです」

「本当に?」

「……少しだけ」

蓮は小さく笑って、私の手を取った。

「ゆっくりしていって」

案内されたのは、以前見せてもらった蓮の子どもの頃の部屋だった。


懐かしい雰囲気の家具が並んでいる。


私は本棚に目を向けた。

「ここ、前に来たときと変わらないですね」

「そうだな。あまり変える気になれなくて」

「思い出があるから?」

「ああ」

蓮は少しだけ遠くを見るような目をした。


私は棚の上に置かれた小さな木箱に気づいた。

「これは?」

蓮の表情が、一瞬だけ変わる。

「昔から持っているものだよ」

「開けてもいい?」

彼は迷うように視線を落とした。


そして、静かに頷いた。

「……ああ」

木箱の蓋を開ける。


中には、小さな星のチャームが入っていた。


金色の星。


少し古びているけれど、丁寧に保管されていたことが分かる。


その瞬間。


胸の奥が、きゅっと締めつけられた。

「……これ」

指先が震える。


どこかで見たことがある。


いや、見たことがあるだけじゃない。


知っている。


この星を。

「美月?」

蓮の声が遠くに聞こえた。


頭の中に、幼い声が浮かぶ。


――寂しくなったら、これ見てね。

「……どうして」

私は星のチャームを見つめたまま、呟いた。

「どうして、これを蓮さんが持っているの?」

蓮は答えなかった。


その沈黙が、何よりも大きな答えのように思えた。

「これ……私、知ってる気がする」

「美月」

「前にも見たことがある。ずっと昔に……」

蓮がゆっくりと近づいてくる。

「無理に思い出さなくていい」

「でも……」

「大丈夫だから」

その声は優しかった。


けれど、私はもう、目をそらしたくなかった。

「蓮さん。これ、誰からもらったの?」

彼は星のチャームに視線を落とした。

「……大切な人から」

「その人って」

「美月」

蓮は私を見つめた。


その目には、懐かしさと、寂しさと、長い間抱えてきた何かが混ざっていた。

「君だよ」

息が止まった。

「……私?」

「そう」

蓮は、そっと星のチャームを手に取った。

「昔、君が俺にくれたものだ」

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